Canon EOS 5Dとは?
なんと12年前(2005年)に発売された一眼レフカメラ。
しかし未だに根強い人気を持つカメラで、当時は30万以上したハイアマチュア機です。
2017年現在はたったの3万円ほどから入手可能で、Kixiはその値段でレンズも日中シンクロ可能なストロボもついてきた非常にコスパの良いカメラ。
購入時の記事はこちら。
コスプレ撮影から見る、Canon EOS 5D
結論から言うと今から購入するのはおすすめできません。
なぜなら、既にサポートが終了しているから。
壊れた場合はあきらめるしかありません。
また、古い機種なのでいつ壊れてもおかしくありません。
それでも、格安でフルサイズが使いたい人や、EOS 5D初代の色味を愛している人。
又は古いカメラにノスタルジーを感じる人は買ってもいいかもしれません。
操作性
いくらカメラマンが撮影しづらくても、出て来る写真からそれは読み取れない。
ISOオートがなくても、AFが怪しくても、それは撮影する側がカバーできれば問題ありません。
もちろん、写真の歩み止まりが上がればそもそも撮れる写真の幅が増えるし、 そういった意味では、最新機種を買うのは間違っていないと思います。
EOS 5D初代の操作はシンプルだが、不親切で時代遅れでもあります。
例えば、唯一マニュアル操作が余儀なくされているISO感度ですが、こちらはISO変更ボタン+ダイアル を使って切り替える必要があります。
変えるときに、ISO変更ボタンを押してから、ダイアルを変更する2ステップ必要になるので、頻繁に変えるには慣れが必要です。
それ以外は、最近の一眼レフとほぼ同様の操作系で、カスタムファンクションでボタン設定の切り替えも可能です。
特に便利なのは、5D系以上の機種にしか搭載されていない、マルチコントローラーです。
これで、直感的にAFポイントを選択できるので、十字キーONLYの機種で変更するよりもずっと操作しやすいです。
AF設定をマルチコントローラーダイレクトに設定しておけば、どのタイミングでもAFポイントを直感的に変更できて急な構図の変更にも柔軟に対応できます。
画素数
レイヤーさん達は、基本的に写真を大きく印刷したりはしません。
利用方法といえば、スマホで見たり名刺として印刷したりするくらい。
そこに、例えばNikonのD810など3600万画素とか持ってきてもオーバースペックです。
結局多くの画素はリサイズするとき、Twitterで送る時、スマホに保存するとき、レイヤーさん達がアプリで加工するときに失われてしまう。
そういう意味では、5D初代の1200万画素で実は必要十分だったりします。
ただ、リサイズ前提での撮影は難しくなるため、カメラマンは「ズームレンジを活かして」又は「自分の足」を使って適切なフレーミングをしなければいけません。
感度
古いカメラなので諦めてください。
ISO感度は、デフォルトで100~1600。 拡張しても50~3200で、最近の一眼レフを持っている人から見たら驚くほど高感度には弱い。
しかも、ISOオートが存在しない。 これは、初代 EOS 5Dで撮影するときに常に頭の片隅に入れておかなければならない点です。
撮影中に日が傾いてきたら、手動で少しずつISO感度を上げていく必要があります。
イメージとしては、 ISO 800を超えたら要注意。 ISO 1600までならなんとか使えるが、スマホ鑑賞前提な画質。(印刷とかには向かない)
ISO 3200はフォトショを持っている人なら救えるが、これもスマホ鑑賞に耐えうる程度の画質でしょう。
夜景やイルミネーションが撮りたい人は、EOS 6Dを買ってください。
機材
今回撮影に使った機材たち。
ちなみに、全部中古で揃えて7万は行かなかったです。
カメラ
12年前に発売した35mmフルサイズ一眼レフカメラ。
レンズ
ポートレートレンズとして非常に人気が高い、タムロンらしい温かみのある色を出す人気レンズ。
設計はフィルム時代だが、だからこそ5Dとの相性は非常に良い。
最近出た50mm単焦点。
前モデルと比べてAF音も静かで合焦速度もそこそこ速いし、何より最短撮影距離が35cmなのが嬉しい撒き餌レンズ。
ISO感度を上げたくても上げられない5D初代と、この明るい単焦点の相性は、その値段も含めて外せない一本。
とりあえず買っておくレンズ。
ストロボ
古いのにTTLオートが使えるから楽ちん。
中古で安く買うためのストロボ。
バッテリーグリップ
中古で変えば、3000円台で入手可能。 古いカメラの良いところは、アクセサリーの値段が安いこと。
もっと古くなってくると今度は玉数が少なくなるので、今のEOS 5D 初代はいい塩梅です。
コスプレ撮影は縦撮りが基本なので、バッテリーグリップはあった方が良いです。
作例
ご注文はうさぎですか? 宇治松千夜 @刻音 さん
EOS 5D初代 + SP AF28-75mm F2.8 XR Di で撮影。
絞り開放です。
中々透明感のある描写をしますね。
この写真は背景に気を使って撮ってみました。
紅葉した木々がなるべく映り込むように、とかビルの隙間から差し込む太陽光をなんとかファインダーに収めようとしたり、粘って撮った覚えがあります。
よくある白飛ばしで肌のディティールを消すのはあまり好きじゃないので、他のカメコ写真よりも暗めです。
ローゼンメイデン 真紅 @ともさん
EOS 5D初代 + SP AF28-75mm F2.8 XR Di で撮影。
衣装が高級感のある赤だったので、なるべく衣装のディティールを残して現像しました。
この赤色が出るのは、EOS 5D 初代だからこそだと思います。
あえて現像でそうしているのもありますが、フィルムライクな写真になっていると思います。
フィルムで撮ったらこんな色味になりそうだな、なんて考えなら楽しく現像させて頂きました。
ダンガンロンパ 絶対絶望少女 モナカ @りくずきん さん
EOS 5D初代 + EF50mm F1.8 STM で撮影。 屋内で暗かったのでEF50mm F1.8 STMに切り替えました。
混み合うイベントでの全身撮りは難しいですが、スペース的に余裕のあるイベントだと引いて全身が入れられます。
ガラスの反射は思いつきでしたが、思いの外綺麗に写っていて良かったです。
本人がガラス側の顔の表情を加工で変えて使ってくれていて、反射を利用した撮影にはまだまだ伸びしろがあると思いました。
ちなみに、ISO400で撮って、それでもかなり暗かったので現像で底上げしています。
ガールズアンドパンツァー 西住みほ @まみゅ さん
EOS 5D初代 + SP AF28-75mm F2.8 XR Di で撮影。 初代5Dの性能を遺憾なく発揮できるのは、やはり明るい日中の撮影。
今のフルサイズ機に負けていない描写だと思います。
ちなみにほぼ撮って出し状態です。
12年前のカメラが未だに通用する画を吐き出してくれるのを見ると、いかに初代 EOS 5Dが先進的なカメラだったかが分かります。
I”s-アイズ- 葦月 伊織 @天津いちは さん
EOS 5D初代 + SP AF28-75mm F2.8 XR Di で撮影。
アコスタで最近安直に使っている、花壇から顔を出す感じの撮影。
フルサイズだからこそ使える余裕のあるボケ味と表現力が手軽に使える撮影ポイントです。
(APSCでもマイクロフォーシーズでも綺麗にボケるのでオススメです)
75mm付近のF2.8でこれくらいボケてくれます。
APSCで同じボケ量を得るには、50mm F1.8くらいがあればいいと思います。
※ただしモデルさんのパースが変わってくるので、描写はまた異なるものになると思います。
特に、背景ボケは制限がある事が多いのですが、前ボケは近付けば近づくほどボケるので調整しやすいです。
半逆光くらいで撮れると、ハイライトが入って透明感が出てきます。
初代5Dを使った撮影で気を使うこと
以上のようにある程度使ってみて気を使う必要があると感じた部分です。
ピント
初代 EOS 5Dの両端のピントは常に疑ってください。
スーパーインポーズが付いても、合っていない事が多々あります。
特に暗い場所や逆光では結構な確率で外している上に、そもそも合焦しない事もあるので、MFへの切り替えは常に頭のなかに入れておいた方が良いです。
MFのコツは、合ってるかなーと思ったピントの前後を数枚撮っておくと、どれかは使えるレベルで撮れているはずです。
ライブビューが使えないので、ファインダーの感覚を掴んでください。
ちなみに、ファインダーはフルサイズなだけあって結構広いので、MFはしやすいです。
ISO感度
ピントほどでは無いですが、感度には気を使います。
上げて画質が落ちることに気を使うのではなくて、ISOが下がったままでシャッタースピードが遅くなって手ブレ、被写体ブレが発生する所に問題があります。
常に余裕を持った値にしておくべきですね。 ピント外しとブレさえなければ、フォトショである程度は救えるので、この二点には気を使って撮影しています。
完全マニュアルはISO感度だけなので、こちらを常に把握して、適切に設定を変える必要があります。
まとめ
初代 EOS 5Dは、日中のコスプレ撮影には問題なく使用できると判断しました。
夜間は、明るいレンズ必須だったり、ライティングを最近のカメラよりシビアに行う必要があります。
大きく印刷しないのであれば、よほど暗いイベントで暗いレンズで撮らない限り大きな問題は出ないはずです。
ただし、使用者に掛かる負担は少なくありません。
ISO感度が完全マニュアルだったり、ライブビューが使えなかったり、液晶の画質がひどいせいで、ヒストグラムで露出を確認する事になったり…。
ゴミ取り機能も無いので、自力でセンサーを清掃するかサービスセンターへ定期的に持っていく必要もあります。
それが楽しいと思える人は、きっと買って後悔はしないと思います。
手が掛かるけれど、その分撮れた写真に還元されるカメラです。 値段も安くて、純粋に撮影者の腕や知識、経験が試される、いい意味で「カメラの先生」になってくれると思います。
初代 EOS 5Dを完全に扱えたら、恐らく最近のカメラはほぼ全て扱えるはず。 だからこそ、最初の一台目にはハードルが高いけれど、2台目、特にAPSCの古いカメラを使っている人のステップアップにオススメです。
それでは!