2017年 アートアクアリウム東京(日本橋)
竜宮城をコンセプトにした巨大なアクアリウム群。
撮影OKとの事でしたので、一眼を担いて”男二人”で撮影に行ってきました。(地獄)
20時頃に現地に着いた際は、ほとんど並ばずに入れました。
入場料は大人1000円。
中はカップルの巣窟。
オッサン二人は、「アートアクアリウムの空気感を楽しむ」<「写真を撮る。素早く。そして逃げる」の方向へシフトしました。
しかし、思ったように写真が撮れない。
なぜ思ったように写真が撮れないのか?
アートアクアリウムの会場内は非常に暗いです。
光が少ない(暗い)と、カメラは自動でシャッター速度を長くしてたくさん光を取り込もうとします。
このシャッター速度が長く(遅く)なる事が撮影難易度を上げてしまうのです。
手ブレ
シャッター速度が長く(遅く)なると、カメラ本体のブレが発生してしまいます。
三脚でも使っていない限り、カメラは手で持って撮影すると思いますが、手は完全に静止している訳ではありません。
シャッターを押す時にブレたり、一眼レフであればミラーが動く時にブレる事があります。
被写体ブレ
アクアリウムの被写体は、殆どの人は「魚」だと思います。
魚は動きます。
シャッター速度が長いと、露光している間に魚が動きます。
例え手ブレをしていない写真でも、魚がブレてしまって締まりのない写真になってしまいます。
ノイズ
暗いと、必然的に設定値が上がるのがセンサー感度(ISO)です。
ISO値が上がると、必然的にノイズが増えてザラザラした写真になってしまいます。
特にアンダー(暗い)部分にノイズが乗りやすく、全体的に暗めのアートアクアリウム会場を写す際に気になる事もあるかと思います。
被写体の小ささ
大きな水槽を丸ごと撮影する場合には気にならないかもしれませんが、「魚」をメインの被写体として撮りたい場合は、その被写体の小ささが撮影の難易度を上げてしまいます。
小さい被写体を写すためには、被写体へ近づく必要があります。
近づけば近づくほど、魚にピントを合わせるのが難しくなります。
ちょっと魚が動くだけでピントがズレるし、レンズによって被写体へ近づける距離の限界が決まっているので、魚が近寄ってきたら急にどう頑張ってもピントが合わなくなる事すらあります。
AFに不親切な暗さ
暗闇への強さを謳っていないカメラだと、もしかしたらそもそもオートフォーカスが上手く効かない可能性があります。
コントラストAFしか搭載していないカメラや、暗い標準ズームレンズをつけた古い一眼レフなんかだと、ピント合わせに苦労する事になります。
AFで上手く撮れない場合は、オートフォーカスは捨てて、マニュアルフォーカスに挑戦してみると良いでしょう。
MFの場合、ライブビューでピント合わせをした方が楽ですが、シャッター幕が二度動作する一眼”レフ”カメラの場合は、余計手ブレを誘発する可能性があるので、自分のカメラの仕様を確認しておきましょう。
アートアクアリウムで写真を綺麗に撮る方法
今回問題になっているのは、会場の”暗さ”ですね。
光を写すカメラという機材には常に付きまとう問題です。
夜景なんかだと、三脚使って長時間露光で解決なのですが、魚は動きます。
水槽は止まって写ってくれても、魚がブレていては話になりません。
メインの被写体は魚なのですから。
(三脚を使って長時間露光をすれば、魚の軌跡とかアーティスティックな写真は撮れるかもしれませんが、人がたくさんいるイベントで三脚だして、長時間水槽の前を陣取る行為は迷惑になる場合があるのでやめておいた方が無難でしょう)
つまり、魚をブラさない為に、シャッター速度が絶対的に必要な訳です。 暗い所でシャッター速度を稼ぐ方法は2つだけ。
1.明るいレンズを用意する
光をたくさん取り込める明るいレンズ。
これを使えば、シャッター速度を必然的に上げる事ができます。
シャッター速度を速くできれば、手ブレも起きにくくなるし、被写体がブレる事もありません。
2.感度を上げても綺麗に写るカメラを用意する
基本的に、センサーサイズが大きいカメラが有利になります。 センサーのサイズが大きい場合、1画素あたりの光の吸収量が変わってくるため、少ない光(暗い場所)でもよりノイズが少なく綺麗なディテールを保持した写真が撮りやすいです。
最近発売されたフルサイズ機があれば安心だと思います。
今のままでできる対策
しかし、急にカメラも買えないし、レンズも高い…
そういった人のために、手元のカメラで可能な設定を考えてみました。
なるべく広角で撮る
広角は手ブレが目立ちません。
また、ズーミングによってF値が変わるズーム(キットレンズなど)は広角側の方が明るいため、そちらで撮影した方がより綺麗な写真が撮れるでしょう。
魚には、なるべく望遠へズームせずに、広角側で足を使って寄ってください。
寄った後で、フレーミングの微調整をしてから、ピントを合わせる作業へ流れてゆきます。
明るくライトアップされた魚を狙う
暗い事が撮影難易度を上げているので、逆に明るい場所を狙って撮影することでブレにくく、AFも合いやすくなります。
明るさに余裕がある時は、望遠側を使って魚を大きく写してもいいでしょう。
背景が明るくなるように撮影する
オートで撮っていると、画面全体の明るさでシャッター速度が決まります。 ※測光方法にもよりますが割愛します。
いくら魚一匹がライトアップされていても、背景が真っ暗だと、勝手にシャッター速度が落ちる事はままあります。
つまり、背景を壁にして撮影するよりも、背景に光源を持ってくる事でシャッター速度を稼ぐ事ができます。
ライトなど、点光源なんか入れてあげると意識して玉ボケも作れると思います。
写真に奥行きも出て良いことずくめですが、背景の状態(人が通って光源の壁になっていないか、変な位置に影ができないかなど)を気にかける必要が出てきます。
写真レポート
アートアクアリウム東京 2017のレポート写真です。
参考になるかもしれないので、カメラの設定とレンズの情報を載せてお送りします。
【SONY α7 FE 85mm F1.8 1/100s ISO1000】 美しい器ですね。 二本の伝統工芸、九谷焼だそうです。
【SONY α7 FE 85mm F1.8 1/100s ISO1000】
天井には、グラスのようなものが並べられて光っていました。 天の川をイメージしたのでしょうか。 あえてぼかして撮影しました。
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 75mm F2.8 1/80s ISO4000】
金魚は意外と大きいです。
多種多様な種類が泳いでいて、飽きること無く順路を進む事ができます。
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 75mm F2.8 1/80s ISO2000】
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 28mm F2.8 1/60s ISO2500】
実際の暗さに忠実に現像しました。 これくらい暗いので、心して撮影してください。
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 35mm F2.8 1/60s ISO400】
大量の金魚が泳いでいます。
金魚の祭壇のように、中央の巨大金魚鉢の周りに、小さな水槽が配置されていました。
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 75mm F2.8 1/80s ISO1600】
マクロっぽく撮ってみました。
あの暗さの中で金魚も動くので、金魚単体で撮るのは簡単そうに見えて以外と難しいです。
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 28mm F2.8 1/60s ISO4000】
現像で、なるべく金魚以外を暗くしました。
非常に幻想的な配置ですね。 水槽が棚田のようになっています。
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 33mm F2.8 1/60s ISO250】
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 28mm F2.8 1/60s ISO2500】
メインの展示部屋には、なぜかDJが。 竜宮城をモチーフにしているのに、いきなりDJがビートを効かせているのはビビりました。
水槽もかなり音で振動していたけど魚は大丈夫なのか…
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 63mm F2.8 1/80s ISO3200】
ヒトデから顔を出すエビ。
金魚だけではなく、ヤドカリなど色んな海洋生物がいました。 ぜひ探してみてください。
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 28mm F2.8 1/60s ISO6400】
上の器だけでなく、下のガラスの台の中にも金魚が泳いでいます。
【SONY α7 TAMRON 28-75 F2.8 75mm F2.8 1/80s ISO800】
【SONY α7 FE 85mm F1.8 1/100s ISO320】
【SONY α7 FE 85mm F1.8 1/250s ISO100】
玉手箱の奥には、プロジェクションマッピングで墨を流すような演出と共に金魚が泳いでいます。
【SONY α7 FE 85mm F1.8 1/100s ISO800】
偶然人が居なかったので、サッと撮影しました。 幻想的な雰囲気です。 オッサン二人でなければ。
最後に
今年の夏は例年よりも暑いです。
そんな中、カップルで涼みに来るには絶好の場所かと思います。
本気でアクアリウムの写真を撮る人は、明るいレンズやマクロレンズを持参して、蠢くカップルの中でただシャッターチャンスを待ち、心を無にして静かにシャッターを切る作業が必要とされます。
来場される方は、日本橋駅ではなく三越前駅で降りれば、地上に出る事なく地下から直接会場へ行けるので、外を歩きたくない人は三越前から。
中でお酒も販売されていて、ワイングラスで日本酒を飲むバー的なものも設置されていました。
みなさんも、暑い夏を金魚とDJと日本酒で乗り切ってください。 それでは。