SONY α7 初代 レビュー
オッサンが持っているよりビジュアル的によろしいので、カメラを持っている写真を使わせて頂きました。
主にこんな感じの装備で撮影しています。
(ちなみにこの写真はCanon 5D撮って出し。Canonの色は良い)
はじめに
最近はSONY α7 初代をメインに使って撮影するようになりました。
ミラーレスとか初心者向けだろ、とかレスポンスが悪い~とかマイナスイメージを持っていたのですが、メイン機として必要十分なスペックと画質を備えていると判断したので、「メインとして使う」カメラとしてレビューしていきたいと思います。
SONY α7シリーズが得意/不得意とする撮影案件
SONY α7シリーズをメイン機として使用するという事は、「動体を捨てる」潔さが必要になってくると思います。
以下に簡単にまとめてみました。
撮影が難しい撮影案件
- 激しく動くスポーツ系の撮影
- 車などのサーキット撮影
動体撮影は、ハッキリ言ってα7シリーズには向きません。
撮影自体は不可能ではありませんが、別の連射できるカメラで撮った方が歩留まりは確実に上がります。
あえてα7を使う理由は全くありません。
α7が得意とする撮影案件
- ポートレートなど人物撮影
- 軽さ小ささが活かせるスナップ撮影
- 風景撮影、ネイチャー
人物撮影には強いです。
なぜなら、顔認識機能や瞳AFなど人物撮影に特化したミラーレス一眼ならではの機能が使えるから。
それだけではなく、MFレンズも、ピーキング機能やピント拡大機能を使って楽に撮影できます。
フルサイズ最小サイズ、重量のα7はスナップなど街撮りにも便利で、仰々しいスタイルにならない上に首から下げていても疲労感は非常に少ないです。
風景写真はこのカメラで無くてもいいですが、小さくて軽いので登山や遠出をする時の負担を減らせます。
本体のレビュー
前提として、前項目で語った「動体を撮らない」撮影をメインに行う場合のレビューとなります。
α7の前は、Canon 5DやPENTAX K-3を使っていましたので、使用感はそちらとの対比の要素が含まれますがご了承ください。
サイズ感とグリップ
昔のフィルムカメラを彷彿とさせるサイズ感です。
α7のグリップには頼りなさを感じますが、慣れれば普通に安定して撮れるようになります。
しかし、Canon 5Dなんかと比べるとグリップ時の安定感にはやはり物足りなさを感じます。
こればかりは、サイズとのトレードオフな部分もあるので、慣れでカバーできる範囲である事は十分評価に値すると思います。
縦位置グリップはビジュアル的に微妙だと思われる方もいらっしゃると思いますが、正直長時間の撮影を経験したらそんな事は言ってられなくなります。
特に、コスプレ撮影やポートレートに使う予定の方は、用意しておくと捗るかと思います。
画質
35mmフルサイズ 2400万画素。
近年バランスタイプだと勝手に思っているセンサースペックです。
画素数的にも感度的にも必要十分なスペックを誇っていると思います。
意外とオートホワイトバランスが優秀なのか、Canonと似た色を出す事が多いです。 たまに室内で意味分からん色を出す事もありますが、RAW撮影メインの人は問題無いかと思います。
本体の質感
質感自体は良いと思います。
手触りなども、安っぽくは無いのですが、ただ薄くて小さいので強度的な部分で不安はあります。
70-200 F2.8など、大きなレンズを付けた時にマウント部の強度に一抹の不安を覚えます。
レンズの選択肢
一昔前は、フルサイズのEマウントレンズが殆ど無い時代がありましたが、現在はF2.8の広角、標準、望遠ズームが出ていたり、単焦点も一通り出ていて純正レンズの選択肢としては十分だと思います。
しかし、Kixiは貧乏人なので、サードパーティ製のラインナップが気になる所。
※ここでは、AF、AE可能でそのまま撮影できる、FEマウントのサードパーティ製レンズについて書かせて頂きます。 結論から言うと、残念ながら、コスト面で優れるSIGMAやTAMRONのFE用のレンズは存在しません。
(カールツァイスなど、純正顔負けの値段がするレンズは多種発売されています)
SIGMA社は、代わりにCANON EFマウントのレンズが使えるマウントアダプタを出していますが、おそらくα7Ⅱ以降で無ければ快適なAFは行えないでしょう。
※仕様として、初代α7はマウントアダプタを介したAFにコントラストAFしか使えない制約があるようです。
コントラストAFは非常に遅く(特に位相差AF基準に設計されているレンズでは信じられないほど遅くなる)α7初代でマウントアダプタ経由のAFはほぼ実用できないレベルなので注意してください。
ただ、MFオンリーでも静物なら問題ないので、電子接点のあるマウントアダプターの有用性は確かにあります。
先日もそれで星を撮ってきました。 以下のように、純正レンズ以外も運用次第で十分に使える懐の深いカメラです。
星撮影
オールドレンズ
オールドレンズというミラーレス機の特権があるので合わせて紹介しておきます。
フィルムカメラ時代のレンズをお手頃価格で楽しめるのですが、EVF(電子ビューファインダー)で見るとMFもしやすく、前述しましたがMFをサポートする機能も満載なので、α7はオールドレンズへの敷居を下げてくれる革新的なカメラだと思います。
とくに、センサーサイズが35mmな所がα7とオールドレンズの相性を良くしてくれています。
なぜ35mmのセンサーがフルサイズと呼ばれるかというと、当時一般的だった35mmフィルムのサイズが基準にあるため”フル”サイズなのです。
つまり、受光面が当時のフィルムと同じサイズなので、フィルム時代に設計された通りの画角で写真が撮れます。
asahi super takumar 55mm f1.8 で撮影。
55年前のレンズです。(1962年発売)
SONY α7で撮影した作例
スナップ以外は「FE 85mm F1.8 SEL85F18」で撮影した写真を使っています。
※レンズのレビューは「Sony FE 85mm F1.8 レビュー 【コスプレ作例追加】」
使用機材詳細
SONY α7 初代
フルサイズセンサー搭載ミラーレス一眼レフ。
SONY α7 縦位置グリップ
人を撮る時など、縦位置撮影が多い案件では必ず付けています。
Air1+Di700A
人撮り、物撮りで使っています。
これ主体でライティングを組むことはあまりないですが、逆光の時に被写体を照らしたり、キャッチライトなどで使用しています。
FE 85mm F1.8 SEL85F18
コスプレ撮影で使っています。
AFも早く、描写も美しいので買ってよかったレンズのひとつ。
SP AF28-75mm F2.8 XR Di
Canon EFマウント用のフルサイズ対応 F2.8通し標準ズームレンズ。
後述するマウントアダプターでα7にはめて使います。 MF専用。
Canon EFレンズ変換 マウントアダプター
α7でCanonのレンズが使える便利なマウントアダプター。
電子接点付き。 三脚座?(マウントアダプターを三脚に固定するパーツ)なども付属していて星撮影には便利。
大きなレンズを付けてもマウントへの負荷は最小限。
コスプレ
学校の屋上で撮影した写真です。 シチュエーションに恵まれた環境で撮れると楽しいですね。 唯一の問題点が、床が緑に塗装されていて、太陽の照り返しが緑になって顔も緑になりました。 フォトショで色味を修正して事なきを得ました。
池袋アコスタの花壇。 イベント撮影では、比較的背景が整理できる貴重な撮影スポットです。 前ボケも入れて遊んでみました。
TFTホール、屋外撮影スポットです。 国際展示場のすぐ近くで、よくコスプレ博とかイベントが行われている場所ですね。 構図に迷って迷って、あえて水平を捨てました。 イベント量産写真とはちょっと雰囲気が違う写真になった気がします。
TFTの魅力は、屋外撮影エリアの環境もそうですが、室内の自然光が取り入れやすい大きな窓も素晴らしいと思います。 日中だと手軽に逆光が作れて、日が暮れると反射で遊ぶことも可能です。
池袋アコスタです。 普通に撮った、普通の写真ですが、光の質が良くていい感じに写っていると思います。 黒髪のディテールを残すために、黒の強さを現像で微調整しています。
動物
けものフレンズの博士で人気になったアフリカオオコノハズクです。 驚くと細くなります。 このサイズで成体です。 背景が緑で強くボケているので、より被写体が浮き出て見えますね。 玉ボケにもなり切れない光なので、かえって主張しすぎずいい塩梅だと思います。 構図はひどい日の丸構図ですね。これはひどい。
博士の助手のワシミミズク。 非常にデカいです。 博士より間違いなく強い。 モサモサした羽根に指を突っ込んでも中々胴体に辿り着かないので、本体はかなり細いと思われます。
近所の猫です。 よく触らせてくれる、人に慣れた野良猫。 耳とか足を触っても嫌がらず、尻尾も触れます。
スナップ
「asahi super takumar 55mm f1.8」で撮影。
車でも来てくれてたらいい写真になってた気がします。 シャッター速度を遅くして、ヘッドライトの光線を残せたら波打ってる道路と合わせていい感じだったはず… どこか主役の居ない写真のようになってしまっています。
秋葉原電気街の裏路地に一本入った所です。 この時間になると人が減ってきて、パーツショップなども軒並み締まってしまい、食事処や飲み屋のライトが主役になってきます。 「asahi super takumar 55mm f1.8」は、一段くらい絞るとよく解像します。
開放だとソフトフォーカスレンズみたいになる事もあるので、絞りで大きく描写を切り替える事ができます。
まとめ
α7は軽くて小さいですが、レンズがフルサイズ対応のために巨大です。
そのアンバランスさが使いづらさに直結してしまう人がレフ機へ戻っていってしまうのだと思います。
逆に小さな単焦点レンズを選んでみたり、縦位置グリップで調整したり、”やりずらい部分”をなんとかして使うのも、α7ならではの楽しみではないかと思います。
そして、サイズ感にはきっと慣れます。
あのサイズでフルサイズセンサーを搭載した一眼は、α7とα9シリーズだけです。
α9は50万しますが、α7は10万くらいで買えます。 出て来る画像の差に40万の違いはきっと無いはずです。
連射や動体の撮影が必要無い人は、α7、α7Ⅱを買えばきっと納得する絵が撮れると思います。 通勤鞄に軽々入る、頼もしい相棒になってくれることでしょう。