さくら荘のペットな彼女 全話感想

2012年。
僕はそこそこアニメを見て来ましたが、その中でもこれはトップレベルの出来だと思います。
色々叩かれたりもしましたが、その原作と、シリーズ構成である岡田麿里さんの手腕により、青春群青劇としてはこれ以上無い程完成されたアニメだと思います。
よくあるラブコメアニメではない事を理解して見ないと、タイトルから想像もつかない重く、そして暖かい話に度肝を抜かれる事でしょう。
パンツも自分で選べない、天才少女ましろと、平凡な高校生空汰。
彼らのラブコメかと思ったら、少し違う。
さくら荘に住む、暖かく優しい住人達。天才と凡人達。不安定で不完全な少年少女。
彼ら全員の物語であって、それらが複雑に混ざり合う人間ドラマこそ、このアニメの見所であり、素晴らしい所です。
何度も、何度もぶつかって。
仲直りして。
たくさん笑って、たくさん泣いて。
超えられない壁にぶつかって、どうあがいても超えられなくて。
なんでも叶うような、そんなハッピーエンドを許してはくれません。
主人公はゲーム企画の最終考査で落ちるし、ヒロインの1人は声優のオーディションに結局受からず、先輩も大阪に行ってしまった。
そんな中、ましろだけが。
天才のましろだけが全てうまくいく。
主人公のプレゼンに使用したましろの絵を気に入ったゲーム会社が、空汰を落として、ましろに原画を頼む手紙を送ったりもした。
フィクションのくせに、嫌に現実的な側面を見せつけられます。
この世界、そう簡単にうまくは行かない。
分かりきってる事だけど、その現実は登場人物達を苦しめていきます。
そんな中、突如決まったさくら荘取り壊し。
この青空に約束を-を思い出しますね。
TARITARIの最終階もそんな感じだった気がする。
自分達には手の届かない、理不尽で大きな力。
取り壊し反対の署名活動をするも、全然足りない。
その取り壊しの原因にましろの存在がありました。
登場人物達の成長。
特に、ましろは大きく変わりました。
責任を感じて飛び出すましろに、追いかける空汰。
「お前が居ないさくら荘なんて、それはさくら荘じゃない」
そこの仲間が全員いてこそのさくら荘なんだ。
大事なのは建物じゃない。
みたいな事言ってて、このままさくら荘も取り壊されるのかなーとか思ってたら、卒業式でどんでん返しがありました。
ここまでネタバレしといてなんですが、是非たくさんの人に見てほしい作品です。
要所要所に計算された感動ポイントが張り巡らされてて、よくできてるなーと感心させられました。
岡田麿里さんのレベルの高さを再認識しました。
ドラマを見てるようなあの感覚。
とらドラ!、truetears、あの花 を見て感動した人ならば、見て損する事は無いと思います。
色々辛口なレビューが多いので、敢えてべた褒めしてみました。

作中に出てきた博多駅。
結構似てる。
個人的に、ましろは今期ヒロインの中で一番でした。
めんまの声も、すごく合ってて良かった。
もしあるのならば二期、期待しています。
それでは。